神戸メディア・リテラシー研究会発足の記念講演でジャーナリストの大谷昭宏さんは中越地震の報道について「淡々と放送される安否情報を見ていると、とっても人間的で、報道の原点だと感じた。小泉総理が被災地に入ると、SPやお付きの連中、メディアがぞろぞろ付いていくので被災者に迷惑だ。阪神大震災のときも村山総理が来たが、何の役にも立たなかった」などと語りましたが、大谷さんの危惧がやはり現実になっています。現地からは以下のような“悲痛”の声が届いています。
●小千谷市のボランティアからの訴え(ML転送・抜粋)
どうか助けてください。小千谷市役所、小学校で救援物資の配給や、炊き出しなどを手伝っていますが、現場はまだまだ混乱し、人手も足りていません。
そんな状況下で、マスコミの取材陣が50人近く現場付近を陣取っています。小千谷市役所の正面に車をとめているために、救援物資を運ぶトラックは遠くにとめることしかできず、ボランティアの人たちがせっせと物資を運んでいますが、報道陣はそれを手伝う気配すらありません。
心労と肉体的疲労が積もっている被災者の方々に当然のようにマイクを向け、24時間カメラをまわし続ける神経もさっぱり理解できません。
きょうはこのあと、小千谷小学校に小泉首相が来るということで、マスコミ報道人の数はさらにふくれあがり、「毛布の配給が出来ないので、小泉さんが帰るまで待つように・・・」という連絡が入りました。一体何のための視察なのでしょう?午前中にも数名の政治家さんが来て、トイレはどこかとたずねられたので、仮設トイレに案内したら「私に仮設トイレを案内するのかね」と言われたそうです。いったいこの国はどうなっているのでしょう。
●スターライナー・内本君からのメール・電話
マスコミの無神経な取材に怒りの声があがってます。六日町の小学校では報道陣の取材を断っています。また小千谷では市役所前に報道陣の車両が陣取り、救援物資車両が来ても道をあけることなく、離れたところに停めたところからの物資搬入にカメラを向けています。地元関係者もメディアに怒っています。
『安心報道』(集英社新書)にも書きましたが、阪神淡路大震災のときもそうでした。特に、東京からやってきた“ワイドショー”の取材は最悪でした。被災者を悲劇の“主人公”にしながら“見世物”にするような取材の仕方です。
「阪神」のあと、災害時の取材や報道の仕方について各社とも研修を行なっているはずですが、ほとんど改まっていないようです。
メディアは被災者の不幸や難儀探し、美談づくりをやめて、被災者に寄り添う気持ちで、被災者が一日も早く立ち直って元の生活が出来るよう「生きる力」と「希望」がもてるような報道を心がけてほしいと思います。