公有地を32億円も安く売却したのは違法だとして住民訴訟が起こされている東灘区の御影工業高校跡地から大規模な古墳時代の遺跡が見つかり、27日に現地説明会が行われました。
阪急御影駅から阪神御影駅にかけての御影一帯には弥生時代後期から古墳時代後期(今から約1900年前から1400年前)にかけての遺跡が広がっていることが知られており、郡家遺跡と名付けられています。
今回の発掘調査は、御影工業高校跡地の北部分の校舎跡一帯で行われ、水田や、水田に水を引き込む水路、さらには豊作を祈るための祭祀(さいし)が行われたと推定される空間が発見されました。
この祭祀空間からは、祭りに使ったとみられる高杯(たかつき)や壺などが見つかっており、これらの土器が、祭礼用に使われていたのか、実際の生活で使われていたのかなどは、遺跡全体の姿と照らし合わせながら、今後さらに解明がすすめられるということです。
この日は夏の到来を思わせるような強い日差しでしたが、多くの古代史マニアや地元住民が見学に訪れ、実際に遺跡に足を踏み入れて、しばし古代人になったような気持ちで、いにしえの人々の暮らしに思いをはせているようでした。
なかには「これくらいの規模で見つかったんだから、ここで保存して遺跡公園になったらいいのだが」と、公有地が民間に売られたことを惜しむ声も聞かれました。
考えてみれば、御影一帯は約1万年以上も前の縄文時代から人々が暮らしていたことが遺跡調査で裏付けられており、そのなりわいであった古代の農耕地の上に、現代の工業を勉強する学校が建てられ、さらにその跡地には、超現代的な47階のマンションが建設されることになるのです。
教育委員会が売却した土地で、教育委員会の学芸員が文化財の発掘にあたるのも皮肉な感じがします。
はじめに土地売却ありきではなく、想定された遺跡発掘調査を行ってから、土地利用について広く市民の意見を聞くことが重要だったのではないでしょうか。