2007/9/12
官邸崩壊…政治はここまで"劣化"したのか
「局面を転換しなければならない」
「新たな総理の下で、テロとの戦いをめざしてほしい」
御影工業高校跡地売却コンペ裁判の控訴手続きに立ち会った帰路、国会中継を聞こうとカーラジオのスイッチを入れたところ、安倍総理辞任表明の会見中継が耳に入ってきました。
一瞬、耳を疑いました。しかし「やっぱりか」という思いになりました。安倍総理退任は時間の問題だったのですから。
それにしても「なぜ、この時期に」という疑念がわいてきます。参院選直後なら"引責辞任"ということになりますが、内閣改造を断行し、国会で所信表明までして、代表質問の直前です。責任放棄とか、敵前逃亡とか言われます。もっと根深い戦後日本の"病理"があるのではないでしょうか。
ニューヨークタイムスは「強い日本を目指した国家主義的リーダーの挫折」という内容の記事を掲載しています。戦後日本の"強さ"と"脆さ"を浮き彫りにした辞任劇だったように思います。
民主党の前原前代表の辞任劇もそうでした。ライブドア事件追及の"ニセ"国会質問をめぐって、強気を示してきた前原氏は辞め時を誤ったのです。前原氏に正しい情報がはいらず、正しい情勢判断ができなかった脆さを露呈しました。
安倍総理も、前原前代表も戦後生まれのニューリーダーです。いずれも新自由主義的な政治理念と改革精神を持っています。しかし、それを支えるスタッフが脆弱でした。あのライブドアのホリエモンもそうですが、最近の若いリーダーは自己中心的で、他者への思いやりに欠ける面があります。だから"お友達"スタッフを選ぶ傾向があり、批判的な情報が入ってきません。これではバランス感覚を失い"墜落"してしまいます。
ジャーナリストで、ニューヨークタイムスの取材記者をしていた上杉隆さんが最近『官邸崩壊〜安倍政権迷走の一年』(新潮社)という本をタイムリーに出版しました。総理の顔色をうかがいながら、手柄の立てあいをする"チーム安倍"の脆さが実名で書かれています。精神科医の香山リカさん的にいうと戦後政治の"劣化"でしょう。
敗戦から奇跡的な復興をとげた戦後日本は高度成長を経て比較的平等な市民社会を築いてきましたが、小泉政権あたりから、ワーキングプアに代表されるような格差社会が広がりつつあります。年金問題など国民的な将来不安が根深くなっています。日本社会がどんどん“劣化”していくなかで、日本の政治は大きな岐路に立っていると思います。
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神戸新聞WEB号外(9月12日)
NYタイムスWEBサイト(9月12日)
戦後政治の"劣化"
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