林英夫の考え
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2008/1/7

平和へ…ジャーナリズムの使命と役割

神戸市議に初当選させていただいてから5回目の正月を迎え、新年もまた「市民による市民のための市政」の実現をめざそうと心に誓いました。

30年にわたる報道の仕事を経て、議員としての活動もやはりジャーナルな視線が大切だと考えてきました。

『安心報道』(集英社新書)出版以来、親しくさせていただいているフリージャーナリストの東晋平さんとは、よく政治とメディアについての話をしていますが、東さんのご紹介で神戸女学院大学の村上直之教授(メディア論)との出会いがあり、また村上教授が神戸ビエンナーレの実行委員をなさった縁もあって、昨年10月から神戸女学院大学で現代の「ジャーナリズム」について学生らと勉強しています。

なかにはすでにNHKに就職が内定している学生もいて、30人ほどの学生らとともに「ジャーナリズムとは」「マスメディアとは」「ネット時代の市民メディアとは」というようなテーマで研究を続けています。

この日は、フリージャーナリストでアジアプレスに所属する玉本英子(えいこ)さんをゲストスピーカーに迎え、マスメディアが伝えないイラク情勢について語ってもらいました。

玉本さんは過去7回イラクで、ビデオジャーナリストとして現地の人々の暮らしぶりを取材しており、そのときの映像を見ながら、対立が激化するシーア派とスンニ派のゴミ処理問題をめぐる対話会議のスクープや、貧困がゆえに武装勢力に入った青年、米軍の無差別攻撃、自爆テロなどについて詳しく話してくれました。

学生らは少なからず衝撃を受けていましたが、いわゆる「鳥の眼」で全体状況を伝えるマスメディアに対して、「虫の眼」で人々の様子を伝えるフリージャーナリストの命がけの取材に敬服していました。「まさに真のジャーナリズム」という感想文を書いた学生もいました。

ミャンマー(ビルマ)で、フリージャーナリストの長井健司さんが銃撃され“殉職”した事件で、私たちはミャンマーの軍事政権の横暴に目をむけるという皮肉なことになりました。

NPO法人「放送批評懇談会」発行の『GALAK』2月号は、長井さんの事件を検証しながら「戦場ジャーナリストが消える!?」というタイトルで、ジャーナリストの使命について考える特集を組んでいます。

このなかでは玉本さんのケースが取り上げられています。去年2ヵ月間、イラクを取材した際の費用はもちろん自腹で、放送局からの映像使用料や雑誌の原稿料を引いても、約100万円の赤字だったということです。玉本さんは「国際報道の発表の場は年々少なくなっている。長井さんの例でもわかるように、日本人が絡んだもの以外は関心を引かない」と嘆いています。

いくらフリーランスがジャーナリストの使命で危険地域で取材をしても 発表の場がなければ、そのうち取材をあきらめることになるでしょう。インター ネットを利用して発表していく手段もありますが、まだまだ経済的には むずかしい面があります。

経済的にも劣悪な条件で、命がけで取材をするフリージャーナリスト。マスメディアはこういう情熱あふれるフリーランスと協力し、総力で真実を追求し、平和を希求するメディアになってもらいたいと思います。

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