2008/6/24

市営住宅のあり方で議会討論…
減免措置は臨機応変に

 市営住宅は所得が低く、住宅確保が困難な人のために住宅を供給する福祉的な意味合いが強い住宅ですが、最近では本当に住宅確保に困っている人が市住に入れないケースが増えています
 
 このため国の公営住宅政策の見直しがすすめられており、神戸市でも減免制度の改定を行うことになりました。これによって年金生活の高齢者の減免率が下がる反面、子育て世代の世帯は減免率が上がるケースが増えます。以下、24日の本会議での林の賛成討論です。
HAT神戸の復興住宅

HAT神戸の復興住宅

 

 今回の条例改正、施行規則の改正にあたっては、私たちの会派にも「震災で家を失い、安い市営住宅にいれてもらっているが、家賃が上がると生活が苦しい」「年金生活者の家賃が3倍ちかくになるケースがある」「これ以上家賃があがると、家賃の滞納者がさらに増える」など反対意見が少なからず寄せられました。
 
当然、こういった個別のケースを解決していくのも行政・政治の仕事ですが、制度を変える場合は、制度設計の合理性や整合性などを精査するのも政治の仕事です。
 
神戸の市営住宅は、あの阪神淡路大震災で、住宅を失った被災者のための災害復興住宅として、およそ1万6000戸が建設されました。平成17年のデータで管理戸数は約5万5000戸、市全体の世帯数に占める割合は8.5%で政令市ではトップの水準となっています。
 
仮設住宅から復興住宅へという、単線的な緊急・住宅政策だったことは否めませんが、国も「イエス」といわざるを得なかった「特別減免」で家賃の負担をぎりぎりまで安くするという、まさに「公的支援」が展開されたといえます。しかも本市の場合は被災地でも、トップクラスの「一般減免」制度があり、現在約2万8500世帯のうち、およそ67%、3分の2にあたる1万9000世帯が10%から70%の減免をうけている勘定になります。
 
この結果、17年度でみると、住宅使用料が131億円、一般会計からの繰り入れ47億円、国庫補助が60億円、トータルで238億円、一方で、借金返済が164億円という厳しい財政状況といわざるをえません。
 
このような状況のなかで、去年の2月「神戸市住まい審議会」は「今後の市営住宅のあり方」の答申のなかで「家賃制度の検証の視点」として「困窮概念の明確化」と「公平性の確保」を強調しました。
 
●住宅困窮とは、適正な水準の住宅を自分の力で確保できない状態であり、経済的困窮の問題とは必ずしも同じではない。
 
●また「公平性の確保」とは、同程度の困窮者が同程度の負担になっているかという「横の公平性」と家賃負担が個々の困窮度に応じた水準になっているかという「タテの公平性」の観点が必要だと指摘されました。
 
●その上で、減免制度はあくまで臨時的・補完的に活用すべきだと答申しています。
  
このような答申をアタマにいれた上で、今回の改正案をみた場合、
 
●特に減免基準について、これまでの政令月収という「収入ベース」の算定方式から 世帯構成を考慮した「支出ベース」に基準を変えたことは、 「公平性の確保」という点で評価されます。 
 
●また、支出基準額を生活保護基準額の1.2倍に制定したこと。 これについても先日の本会議や委員会で議論が行われましたが、 当局からもらった世帯人数別、年齢別、収入別モデルケースを見る限り 健康保険、年金、後期高齢医療保険、介護保険の負担をすべて含む割増率になっており、現段階での制度設計においては了とします。また、生活保護基準をベースにすることについては、憲法25条の規定にもとづいたもので、基準としてはまったく客観的で公平な数字だといえます。
 
 この結果、たしかに現在7割減免をうけている世帯は約1万4000世帯から 約5000世帯に減りますが、一方で子育て世代の家庭は大半が減免率アップとなり 家賃が安くなった分、こどもたちの教育費などに回せることになり、 子育て支援にも繋がる点はおおいに評価できると考えます。
 
 以上のような観点から、今回の制度改革は市営住宅を取り巻く環境の変化を斟酌(しんしゃく)したうえで一定の評価をしますが、まだまだ当局の説明は不十分です。団地単位でも、自治会単位でも十分な説明会を開いてください。激変緩和措置についても、よく説明していただきたいと思います。
 
 制度改革で、家賃の滞納を懸念する声もありますが、個別のケースに親切に対応していただくとともに、PDCAの発想で、制度改正後のチェックを怠らず、問題が多い場合は、さらに条例や施行規則の見直しも必要だと思います。
 
 住宅の問題は、社会をうつすカガミともいえます。例えば、3DKの住宅で、ひとりさみしく暮らす高齢者、手ぜまな2DKで4人暮らしの子育て世代、ワンルームマンションに、2段ベッドで暮らす派遣労働者、現代の「家なき子」といわれる「ネットカフェ難民」など新しい課題に直面しています。
 
 公営住宅法の改正も含めて、市営住宅のあり方についても課題が山積しています。
 
 以上、数点の要望と意見を付して、私たち議員団の賛成討論といたします。